見逃しドラマお助け隊 » 2014年 春ドラマ »
あらすじ
15年前の医療ミスを知る西門(オダギリジョー)から謝罪の言葉を受けた明日美(上野樹里)は、それを受け流し自分のことを黙っておくよう冷たく突き放した。
その頃、明日美の父親の手術時、伊達(藤原紀香)の指導医をしていた千原淳一(田中直樹)は、伊達なき医局で次期教授候補として頭角を現していた。だが、看護師や他の医師からの、彼の評判は最悪なものだった。明日美と同じ歳の看護師・星野美羽(栗山千明)も、研究一筋で患者と向き合おうとしない千原の姿勢を腹立たしく思っていた。三ヶ月も通院している患者には経過観察の判断しか下さず、入院中の患者の急変にも時間外だからとお構いなし。また、研究だけで手術経験が乏しいと思われないようにと、最初の皮膚切開だけ行い後は助手に任せるという、姑息な一面も持ち合わせていた。彼の頭の中には、出世と研究、そして溺愛している娘のことしかなかった。
そんなある日、千原の元に磐台教授(岩城滉一)直々の手術要請が入る。彼の研究は評価しているが、大きなオペ実績がないことを危惧した磐台は、聖林大学付属病院に多額の寄付をしている特別患者の手術を千原に任せたのだ。その手術の前日、千原の愛娘が行方不明だと妻から連絡が入る。直後に、千原の元へ「娘を誘拐した」という電話が…。そして、千原のデスクには、15年前の手術看護記録とアリスのメッセージカードが置かれていた…。
あらすじ
警察庁特殊防犯課と対立するツルイ警備の鶴井浩二(吉田鋼太郎)が、朝倉草平(伊原剛志)に接近。独裁者のごとく世直しを目論む鶴井は、朝倉から大きな損失を強いられながらも、朝倉の政治家としての素質を見出し、仲間に引き入れようとしていた。だが朝倉は、これまで以上の圧力や妨害を覚悟し、鶴井と闘うことを決意。上司の叶美由紀(安達祐実)に報告する。さらに、鶴井に捨てられた森田勝利(川野直輝)に対して償うことも心に決める。
一方、豊島署の巡査・辻恵一(松下洸平)は、北柴田法務大臣の令嬢・マリエから朝倉と婚約したと聞かされる。辻にとっては信じ難いことであたったが、警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)は、朝倉の相手が叶でなかったことに一人喜んで……。
叶の使いでスイーツ店へ赴く朝倉。その背後に男の影が忍び寄る──森田だ。気配を感じた朝倉は振り払おうとするが、そこに現れたのは伊達であった。早速、婚約の件を確かめに来たのだ。だが、朝倉と伊達の話はいつものごとく、まったくかみ合わない……。その時、近くで悲鳴があがる!
人々が散り散りに逃げる中、一人の女性が奇声をあげながらバットを振り回している。すでに殴られた人たちが、何人か倒れていた。朝倉が駆けつけ、女性を取り押える!
その女性は、夫と二歳の息子と暮らす専業主婦の深田麻由(黒坂真美)。近所の人たちによると、おとなしくて一生懸命に子育てをする麻由は、とてもバットを持って暴れるような人間ではないという。
一名が頭蓋骨骨折の重体、三名が打撲による重症を負っているにもかかわらず、辻と伊達の取り調べに対して、麻由は何も覚えていないと供述する。一方、単独行動をしていた朝倉が麻由の足取りを掴む。麻由は事件を起こす直前に『アロマの天使』というオイルマッサージ店で、マッサージを受けていたのだ。
「吸わせすぎなんだよ!それであの女は事件起こしたんだぞ!」事件をニュースで知った『アロマの天使』の店長・西崎良介(石垣佑磨)は、セラピストの安藤留奈(立花彩野)を激しく責め立てる。「警察に目をつけられたら意味がないんだよ!マッサージでカモフラージュしてるのはなんのためだと思ってんだ!」
麻由にしつこくハーブを要求されたと弁解する留奈。育児ノイローゼの一歩手前の麻由は、精神的に追い詰められて、ハーブに救いを求めていたようだ。
通り魔事件を調べる朝倉の元に、大藪公平の秘書・西村(祖父江進)が訪ねて来た。「大藪先生の容態が芳しくないんです。お父様は、今でもあなたに跡を継いで欲しいと願っています」と西村は告げるが、大藪には二度と会わないと決めた朝倉の気持ちが揺らぐことはなかった。
この時、朝倉を付け回していた森田は、二人の会話を耳にする。「朝倉草平は……大藪公平の隠し子?……なのに、なぜ……」
辻の捜査で、麻由が『アロマの天使』で入手したハーブを吸引したせいで、事件を起こしたことが明らかになる。だが分析の結果、規制対象外の脱法ハーブと判明。悔しがる辻は「やっぱり矯正執行ですよね!」と自ら『アロマの天使』へ潜入すると意気込む。
「男でも雇ってもらえるの?私が潜入してもいいわよ」と叶も協力を買って出るが、「叶さんにそんな危険なことはさせられない」と、結局は伊達が潜入捜査を行うことになる。アメリカで経験を積んだセラピストとして『アロマの天使』に雇われた伊達は、一躍客の人気者に。同時に、西崎店長の信頼も勝ち取る。「お前もそろそろいいだろ。希望した常連にこっそり売ってくれ」とスペシャルハーブを差し出す西崎。それは、一袋一万円で販売している脱法ハーブだ。そこへ客を装った朝倉が訪れて……。
西崎は、朝倉と伊達が警察の人間と分かると「このハーブは違法じゃない。育児で疲れ果てたあの女を、俺が助けてやったんだ」と弁明を始めるが……。朝倉は「お前が彼女を狂わせた。夫と子供の人生も狂わせたんだ!」と麻由の敵を取るべく、矯正執行に入る!
あらすじ
スナック経営者の三嶋幸恵(水木薫)が、店で死んでいるのが発見された。豊島署は自殺と判断したが、遺体の傍らには亀の置物が残されているだけで遺書はなく動機は不明であった。遺体の引き取りに来た息子の陣内幸助(大和田健介)に対応する巡査の辻恵一(松下洸平)。警察庁特殊防犯課の警視・朝倉草平(伊原剛志)も同席する。だが、幸助は遺体の引き取りを拒否。18年前、男をつくって駆け落ちした幸恵は、戸籍上では他人だというのだ。「でも、あなたを産んでくれたお母さんですよ」と辻は言うが「母親の愛情なんか感じたことがない」と幸助は言い放つ。そんな中、幸助は子供の頃からの持病だという喘息の発作を起こしてしまって……。
幸恵はスナックの経営不振のため、悪質な業者から五百万ほど借金をしていたが、弁護士の瀬野典之(大浦龍宇一)に相談し債務整理をしていたことが判明する。その弁護士はテレビコマーシャルにまで出演し、『多重債務や違法な金利のご返済でお困りの皆さま。一度、太陽とひまわり法律事務所へ!相談料は無料、ご安心ください』と呼びかけていた。「いい弁護士さんでしたよ」と辻は言うが、朝倉は瀬野のことが気になった。
その頃、特防課──「君たち、ツルイ警備に首を突っ込んだだろ」と柏木警視長(宅間孝行)が探りを入れていた。叶美由紀(安達祐実)は否定するが、既に警視庁・鶴亀会の上層部はそのことを察知していた。
朝倉によって、ツルイ警備訓練キャンプ“ルキフェル”の計画を阻止された後、失踪していた森田施設長(川野直輝)がツルイ警備代表・鶴井浩二(吉田鋼太郎)の元に戻って来た。「汚名返上の機会を。私にもう一度ルキフェルを再開させてください!」と土下座するが……。「お前はもう、私の欲しい人間ではない。出てゆけ」鶴井が森田を受け入れることはなかった。
朝倉の指示で、幸恵の調査を続けていた辻は、さらに幸恵が闇金から借金をしていた事実を掴む。早速、朝倉がその闇金業者・高坂(長江秀和)を締め上げたところ、幸恵がオレオレ詐欺の被害に遭っていたことが判明する。
幸恵のスナックを調べる朝倉は、幸恵と幼い幸助のツーショット写真を見つけた。さらに煎餅の空き缶の中に、ある物を発見して……。
その後、朝倉は瀬野弁護士を訪ねる。幸恵は借金を整理した後に、再度、瀬野に相談をしていたことが明らかになるが……。「さすがに二度目は無理ですよ。本人に更生の気持ちがないんじゃ、助けることがその人の為にならない」と瀬野は言う。18年前に別れた幸助の情報を、オレオレ詐欺の連中はどこで仕入れたのだろうか? そんな疑問をぶつける朝倉。「個人情報の漏えいは大きな問題です。それで多重債務者が二重三重の詐欺にあってしまうんです。そんな弱い人たちを私は助けてあげたい」と瀬野は使命感を語り始めて……。
「数社から五百万ほどの借金を。助けてください」警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)が瀬野の元に債務整理の相談に訪れる。瀬野は快く引き受けるが……。
伊達が去った後、瀬野は伊達の個人情報をとある業者に売りつけた。「親は貿易会社をやってるようだから、一千万や二千万はいけると思いますよ」と。
特防課──特別に設置した電話の前で待機している朝倉、叶、伊達。かかって来た電話に渋々叶が出る。「ママ、テツトだよ」と伊達を名乗るその男は、典型的なオレオレ詐欺で……。
瀬野は、朝倉と伊達が仕掛けた罠にはまったのだ。伊達は、瀬野を逮捕しようと息巻くが……。朝倉は叶に、「害虫退治の前にやることがあります」と告げた。
再び、辻と共に幸助に面会する朝倉。「払えないんだったら息子に払ってもらう」と幸恵が闇金に脅されていたことを伝える。つまり、幸恵は闇金に追い詰められた末、幸助に五千万の生命保険を残すために自殺したのだ。「最期まで愚かな女だ」とこぼす幸助の前に、朝倉はおもむろに亀の置物を差し出す。それは喘息封じの神社の置物──幸恵はその神社にお百度参りをする度に、その亀を買っていたのだ。朝倉が見つけた煎餅の空き缶には、二百十六個の亀が入っていた。「あなたに詫びることさえできなかった罪の、償いだったんじゃないでしょうか」そんな幸恵の思いがようやく幸助に伝わる。「……母さん」と幸助は涙をこぼすのだった。
そして、朝倉は伊達と共に瀬野の元へ。朝倉に言葉巧みに誘導された瀬野は、「たいして金にもならないのに、借金まみれのクズを助けるのはイメージ戦略だ」と本音を明かした。幸恵の自殺に心を痛める様子は微塵もないようだ。さらに、騙された奴が馬鹿なんだと言い放つ。そんな瀬野に、矯正執行を施す朝倉。それを目の当たりにする伊達は、ただ驚くばかりで……
あらすじ
千明(小泉今日子)は、薫子(長谷川京子)と一緒に酒を飲みに行く。極楽寺の駅で偶然出会った薫子から、ふたりで話したいと誘われたのだ。千明と薫子は、お互いに苦手なタイプであることを認識しながらも、大人なのだから親友にはなれなくても認め合うくらいはできる、と納得して飲み続けた。
同じころ、和平(中井貴一)は、娘のえりな(白本彩奈)とふたりだけで夕食をとっていた。何か会話の糸口を探そうとあれこれ考える和平。しかし、それを察したえりなに、面倒くさい空気が伝わるから止めてほしい、と言われてしまう。そんなえりなに、和平は、父親らしいことを何もしてやれなかった、と謝り…。
飲み続けていた千明たちの話題は、男の前で泣いたことがあるかどうかに。計算して泣くわけではないが我慢はしない、という薫子に対し、男の前で泣いたら負けだと思って生きてきた、という千明。そんな話をしているうちに、和平の話になった。千明は、和平とは恋愛しないのか、と薫子から問われるが、はっきり答えられない。薫子も、和平が自分のことをどう思っているのか知りたいらしい。そこで千明は、和平をこの場に呼びつけて直接問い詰めようと提案。さらに、ふたりで同時に電話してどちらが先につながるか、どちらに先に折り返しがあるか、やってみようということになり…。
あらすじ
上司から呼び出された千明(小泉今日子)は、ふたつの指示を受ける。ひとつは、千明たちが現在取り組んでいる連続ドラマの初回放送が2時間スペシャルになったこと。そしてもうひとつは、JMTテレビが社運をかけて制作するという映画の脚本家に、万理子(内田有紀)が抜擢されたことだった。千明は、万理子を抱きしめて祝福するが…。
一方、伊佐山市長(柴田理恵)とともに、広報誌の取材を兼ねた海岸清掃に向かっていた和平(中井貴一)は、典子(飯島直子)の夫・広行(浅野和之)を見かける。広行は、女性と一緒だった。
同じころ、カフェ『ながくら』では、真平(坂口憲二)が薫子(長谷川京子)の助けを得て混雑する時間帯を切り抜けていた。その際、真平は不意に体の異変に気づき、不安に襲われる。
JMTテレビでベビーシッターの仕事をしていた典子は、和平から電話をもらい、広行の件を知る。海岸のベンチで寝そべっていた広行を発見した典子は、逃げようとした彼を捕まえ、長倉家まで引っ張ってくるが…。
あらすじ
サルドニア共和国大統領の来日の日がやってきた。
警護を指揮するのは、裏で大統領の暗殺を狙う公安部の室井(生瀬勝久)だ。
室井は警備計画の変更に左右されない場所で爆弾テロを起こす…そう睨む倉木(西島秀俊)たち。
しかし津城(小日向文世)は室井の策略で公安に拘束され、動くことが出来ない。
捜査第一課課長・村瀬(鶴見辰吾)を説得した大杉(香川照之)は、捜査一課の面々を引き連れ、大統領の到着する空港へ急行する。
まだ室井に撃たれた傷が治っていない美希(真木よう子)、また倉木も、それぞれ公安の監視を振り切って空港へたどり着く。
そして大勢の利用客で溢れる空港の中には、百舌・新谷宏美(池松壮亮)の姿もあった…。
大統領一家を乗せた旅客機が滑走路に降り立ち、空港では盛大な歓迎レセプションが始まる。
倉木は離れた場所から、捜査員たちと警護にあたる室井を監視する。
室井が単独で動き出せば、爆弾を起動させに行く可能性が高い。
倉木は爆弾の捜索を大杉に任せ、室井を尾行するが、その背後に室井の命を受けた公安部の村西(阿部力)が迫り…。
一方大杉は鳴宮(伊藤淳史)の協力を得て、爆弾が発している電波を探す。
鳴宮が見つけた不審な電波…その先では、美希がある人物と対峙していた…。
あらすじ
千尋(石田ゆり子)はなぜ爆弾を起動させたのか…その理由がわからず爆発現場を訪れた倉木(西島秀俊)は、物影にいる何者かに気づく。
倉木を誘うように移動する何者かの影…それを追って倉木がたどり着いた先には、東(長谷川博己)が待ち受けていた。
東は「助言」だと言って、ある小説に登場する理想郷“オメラス”について話し出す。「その町のどこかに、光の届かない固く閉ざされた地下室があった…」。
一方、警察によって独房に隔離された百舌・新谷宏美(池松壮亮)の衝動は限界に達していた。極限状態の百舌は、まるで獣のように周囲を威嚇し、うめき声をあげ暴れる。そこに、何者かが現れる…。
後日、爆弾事件の黒幕である公安部部長・室井(生瀬勝久)は、彼が暗殺を企てているサルドニア共和国大統領の来日までの間、津城(小日向文世)たちによって軟禁されることが決まった。
室井をすぐに処分しない津城に、「裏で誰かと駆け引きをしている気がする」と疑いを向ける大杉(香川照之)。
しかし津城はそれを一蹴し、倉木たちに協力を頼む。
室井を乗せて車を走らせる倉木たち。到着した軟禁先は、静かな水辺に佇む別荘だった。
穏やかな風景を見つめる倉木。その傍に美希(真木よう子)が座る。
妻と娘を失った倉木と、帰らない父親を待ち続けている美希…同じ悲しみを抱える者として、美希は倉木に言葉をかける。
一方津城は、警察幹部たちを集め会食を開いていた。室井の処分について話し合う幹部たちに対し津城は、爆弾事件の裏にある大きな陰謀について告げる。
夜。倉木と部屋で2人きりになった室井は、千尋とのことを話し始める。
自分の知らない室井と千尋のやりとりを知り、感情を抑えきれない倉木。そこに突然、警報が鳴り響き…。
あらすじ
警察庁特殊防犯課の警視・朝倉草平(伊原剛志)は、豊島署の巡査・辻恵一(松下洸平)と共に、ツルイ警備訓練キャンプ“ルキフェル”の潜入捜査を続けていた。
人里離れた山奥の施設に、ツルイ警備代表の鶴井浩二(吉田鋼太郎)が視察に訪れる。森田施設長(川野直輝)が心酔した目で見つめる中、演説を行う鶴井は、国の現状を憂いながらも、この国を護り、次の世代に残すことが重要だと説く。「すべては諸君が行う日本総警備計画にかかっている」と力強く話す鶴井を、朝倉はじっと見据える。
「そういう目をした人間は味方にするか、でなければ徹底的に叩き潰すべき相手だ」森田のはからいで、朝倉に対面した鶴井はそう告げた。
「日本総警備計画の真の目的」について朝倉が尋ねると、「この国を助けるためには私のような強いリーダーが必要だ」と鶴井は国政に打って出ることを明かした。
「君たちはそのために集められた精鋭なのだよ。特に君には期待している」と朝倉に森田の補佐を命じる。だが朝倉は、その計画には別の目的が隠されており、“ルキフェル”は捨て駒なのかもしれないと睨んだ。
視察を終えた鶴井を森田と朝倉が見送る。潜入した女性ジャーナリストの対処法を尋ねる森田に、「お前は私が何をしてほしいか分からなくなっているのか。私を失望させるな」と鶴井は言い捨て去って行く。森田が困惑する様を、朝倉が見つめる…。
その後、朝倉は鶴井の目論みを探るべく、鶴井との一件で落ち込んでいる森田を言葉巧みに誘導し、緊縛催眠を施す。
催眠状態の森田は、幼少の頃のことを話し始める。森田が自分と同様に親との縁が薄かったことを知って、朝倉は同情を寄せるが…。
「父親に恋い焦がれる一方、根底には捨てられる恐怖がある。それは鶴井への思いにも当てはまるはず…」と捉える。さらに、「日本総警備計画」の本当の目的を聞き出すことに成功する。「集めた連中を洗脳して現代の226事件を起こさせる。それをツルイ警備が制圧することで、先生は民衆の支持を手に入れる」と森田は告げた。つまり、鶴井は日本を牛耳るために、自作自演を行おうとしているのだった。
その頃、特防課──朝倉の上司・叶美由紀(安達祐実)の元を、警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)が訪ねる。伊達が手配した朝倉と辻の偽の身分を、ツルイ警備が調べ始めていることが判明したのだ。柏木警視長(宅間孝行)が廊下で立ち聞きしていることに気づいた叶は、小声で伊達をドヤしつけるが…。「朝倉君ならなんとかするはず」と信じていた。
そんなある日、朝倉は不在中の部屋に何者かが侵入したことに気づく。
一方、挙動不審のせいで、周囲に疑われ始めた辻は、「ここを抜け出して、鶴井の計画を公表して、このキャンプをやめさせるべきです」と提案する。だが朝倉は「僕は鶴井代表について行きます!あの人のやってることは正しい」と言い切った。
「朝倉さんは鶴井に洗脳されたのだろうか…。僕にはあなたの洗脳を解く能力はない」と辻は応援を求めて脱走を試みる。だが森田と指導教官の大道寺努(小西博之)に行く手を阻まれる。その横には朝倉!「この男は警察の犬です」と辻の警察手帳を掲げ、ロープを取り出す朝倉。「待ってください、あなたは洗脳されているんです」辻は抗うが、あっという間に緊縛されて、監禁部屋へ放り込まれてしまう。そこには、ジャーナリストの篠崎里奈(芳賀優里亜)も監禁されていた。
辻と里奈、二人のスパイの処理に迷う森田に朝倉が助言する。「鶴井先生のためならなんでもやる、隊員たちの意志と団結が必要です。そのためには全員が共通の秘密を持つべきです」朝倉が提案する秘密とは、スパイを逃がし、隊員全員で追いつめて殺害することであった。「鶴井先生も本当はこれを望んでいたのではないでしょうか」「そうかもしれない…」森田は朝倉のおかげで鶴井の考えが理解できたことに感謝を表す。「これからも僕の力になってくれるね」と。
翌日、辻と里奈は監禁部屋から解放されたが…。防弾チョッキを着せられた二人の前に、朝倉と森田が立ちはだかる。
「今から君たちを逃がしてやる。ただし、我々は5分後に君たちを追いかける。人里まで逃げ切ることができたら君たちの勝ちだ」辻の抵抗虚しく、森田はタイマーをスタートさせる。もう逃げるしかない!辻は里奈の手を引いて駆け出して行く。「君のアイデアは面白い」と森田がリモコンを手に取る。防弾チョッキにはリモート爆弾が仕込んであり、万が一逃げられても、リモコンスイッチを押せば、二人は跡形もなく吹き飛ぶのだ。「本当にやるんですか」と大道寺が問う。「当たり前だ」と森田が朝倉を見ると、朝倉も頷いた。
“ルキフェル”の隊員たちが全員集合する。「諸君、スパイが二名脱走した。国を護るべきこの計画は、決して外部に知られてはならない。これは演習ではない!実弾の使用を許可する!」と森田はスパイの処刑を命じる。朝倉も森田と共にジープに乗り込み、辻たちの行方を追っていく…。果たして、辻の運命は……!?
あらすじ
病に倒れた元民自党副総裁の大藪公平(品川徹)の見舞いに、警察庁特殊防犯課の警視・朝倉草平(伊原剛志)が訪れた。朝倉の母親は大藪の正妻ではなかったが、大藪にとって朝倉はたった一人の息子であった。「大藪公平の息子だと名乗れば、お前の行く手を阻むものはこの国にはない」と己の後継者に朝倉を指名する大藪。だが朝倉は「母さんの葬式にも顔を出さなかった男の名前なんか、名乗ってたまるか!」とそれを拒否した。
結局、大藪は野心むき出しで擦り寄って来るツルイ警備代表・鶴井浩二(吉田鋼太郎)を後継者に受け入れた。権力をむさぼる大藪と鶴井、朝倉はそんな二人との闘いを決意する。
「鶴井派には手を出さないでと言ったはずよ」上司の叶美由紀(安達祐実)は、ツルイ警備への潜入捜査を目論む朝倉を認めようとしなかった。だが「闘うことは僕のエゴなんです」とまで言い切る朝倉を引き留めることもできず…。「本当はあなたを遠くにも危険な場にもやりたくありません」そう告げる叶に、朝倉は謝ることしかできなかった……
そして朝倉は、警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)の協力のもと、履歴を詐称してツルイ警備に就職。鶴井の国政レベルの企みを探るべく、豊島署の巡査・辻恵一(松下洸平)と共に、山奥の施設で行われるツルイ警備訓練キャンプ『ルキフェル』に参加する。共に訓練を始める隊員たちは、元自衛官、元警官、元傭兵などで、現状に何かしらの不満を抱く曲者揃いであった。そんな朝倉たち新人隊員を施設長の森田勝利(川野直輝)と指導教官の大道寺努(小西博之)が歓迎する。鶴井の秘書でもある森田は、『ルキフェル』の真の目的が『ツルイ警備の最終構想の第一歩 日本総警備計画』であることを明かす。まったく状況が掴めない辻に朝倉が言う。「ここは軍事訓練をするキャンプです」「ええーっ!?」
森田が語る鶴井の構想は、かなりキナ臭いものであった。「日本総警備計画とは、正しい日本を守ること。諸君らが鶴井先生の理想を支えてくれることを期待する!」と煽る森田に、敬礼で答える隊員たち! 「そうとう危ない所に来ちゃった気がする……」辻は呟く。そんな施設内の様子を窺う怪しい人物も動き出して……
その頃、特防課──叶がひとり、朝倉の無事を祈っていた。そんな叶の元を、最近姿を見せない朝倉の様子を窺いに、柏木警視長(宅間孝行)が訪ねる。「朝倉君は病気療養中なんです」と叶は答えるが、柏木の疑惑は深まるばかりで……
ツルイ警備訓練キャンプ『ルキフェル』は、大道寺の先導のもと、厳しい訓練が始まった。ランニング、スクワット、ほふく前進、組み手、武器の講義……。それらを平然とこなす朝倉。一方、盛り沢山の内容についていけない辻……。
そんな辻に、キャンプ内の食堂で働く篠崎里奈(芳賀優里亜)が接近する。だが里奈は、黒川大樹(阿部亮平)という隊員とも親しいようだ。里奈に振り回される辻をよそに、朝倉は里奈の思惑を見抜く。どうやら里奈は、ツルイ警備の『日本総警備計画』について、嗅ぎまわっているようだ、と。
より軍事色が濃くなる『ルキフェル』の訓練──突入、格闘、そして射撃。本物のMP5(短機関銃)と実弾を使用する。「こんなものを調達できるなんて、ツルイ警備はやっぱり普通じゃない!」
そんなある日の昼食後、辻や隊員たちが激しい腹痛を起こした。里奈がビーフシチューの鍋に下剤を混入したのだ。騒動の中、里奈は森田の部屋に侵入してパソコンを探るが、戻って来た森田に見つかってしまう。
隙をついて逃げる里奈を、銃を構えて追いかける森田。居合わせた朝倉がロープで里奈を絡めとる。そんな朝倉と森田の二人は、ビーフシチューを口にしておらず、難を逃れていた。
「お前は何者だ!?」森田は里奈を厳しく追及するが、彼女は口を割ろうとしない。すると朝倉が、新たな緊縛技によって、里奈の素性を聞き出すことに成功する。彼女の正体はフリージャーナリスト。マスコミ界でもタブー視されるツルイ警備への取材が目的で、『ルキフェル』に潜入したのだった。
他にもスパイが紛れ込んでいる可能性がある。そう睨んだ森田は、隊員たち全員の身元の再チェックを部下に命じた。だがその一方で、使える男に出会えたことに満足していた。
朝倉を部屋に呼びつけた森田は言う。「君、鶴井先生に会わないか? 君のその高い危険対処能力を鶴井先生のために有効活用すべきだ。きっと君なら鶴井先生も気に入ってくださる」と。さらに朝倉が、母親との縁が薄いと知ると「僕と同じだ」と親近感を抱き、朝倉に寄り添う!?……
森田から逃げるようにして戻って来た朝倉は、辻に告げる。「ツルイ警備をぶっ潰すために、その本丸である鶴井本人をどう切り崩せるか、それを探る」と。
その翌日、ついに鶴井がキャンプの視察に訪れた。隊員たちが勢ぞろいする中、森田に先導されて鶴井が壇上に上がる。朝倉と鶴井、二人の視線が交錯する……
あらすじ
警察庁特殊防犯課の叶美由紀(安達祐実)は、ツルイ警備の創業者・鶴井浩二(吉田鋼太郎)の息のかかった官僚・企業を矯正執行の対象から除外すると決断した。
「鶴井派を敵に回せば、警察にいられなくなる。鶴井派を止めるのは、私ひとりの仕事よ」そう告げる叶を、部下の朝倉草平(伊原剛志)は複雑な思いで見つめる…。
豊島署の辻恵一(松下洸平)は、別れ話で揉め合う男女の修羅場に遭遇するが…。
男は車からゴミのように女を捨てて走り去って行き、泣きじゃくる女性も逃げるように去って行った。
その男・藤堂朔也(姜暢雄)が向かった先は、お金を払った分だけデートが出来る、派遣ボーイフレンド業を営む事務所。
「あの女、マンションも買えないなんて、時間の無駄だった」と悪態をつく朔也に、「なんだカスを掴んだな。しっかりしろよ」とオーナーの比留間次郎(松澤一之)が発破をかける。
すると朔也は、「もっと上客がいるから大丈夫ですよ」と余裕を見せた。
翌日。辻はまたしても、揉め事に出くわしてしまう。
高級スポーツカーに乗る若いカップルが、駐車違反を指摘した警官に抵抗しているのだ。
「私はあなたたちのような、たかが巡査が切符切れるような相手じゃないの」と言い放つ女は、前警察庁長官、現法務大臣の北柴田建の娘・マリエ(岡本玲)。
その隣でにやけているのは、なんと昨日の男・朔也であった。
「絶対、二股ですよ。北柴田大臣のお嬢さん、騙されてると思うんですよね」と辻に話を聞かされた朝倉は、「こいつのことですか?」と『派遣ボーイフレンド』のサイトにアクセスする。
従業員の写真の中に朔也を見つけた辻は、「え? 仕事ってこと? いや、あれは絶対騙してる!」と怒りを募らせる。
「イケメンばかりだから、辻くんには無理かなあ」と朝倉に言われた辻は、自ら率先して潜入捜査へ赴く。
「派遣ボーイフレンドは、女性にトキメキを与えるのが仕事だ!」と比留間が新人の辻へ訓示を垂れる。
「何がトキメキだ!」と内心毒づく辻だが、早速、常連客とデートをすることに。慣れない仕事にあたふたするばかりで…。
そんな中、朝倉の元へ『父倒れた』と電報が届く。その報せを握りつぶす朝倉の脳裏に、寂しげな母親の姿が思い浮かぶ。
そして、父親らしき男の影も…。
一方、朔也は新たな女性客とのデートに張り切っていた。そのお相手は、叶! 辻の捜査に進展がないのを見兼ねた叶が、自ら囮捜査を買って出たのだ。
ジュエリーショップの経営者を装う叶を、朔也はあの手この手で口説き落とそうとするが、全く歯が立たなくて…。
やがて朝倉と叶は、朔也たちが派遣ボーイフレンド業を隠れ蓑にして、客である女性と肉体関係を持ち、結婚をエサに車やマンションを買わせて転売するといった詐欺行為を働いていることを突き止める。
朝倉はマリエに近づき、それとなく朔也のことを伝えるが、マリエは聞く耳を持たない。
それどころか、「失礼な人ね!私のパパの一言であんたなんかどうにでもできるんだからね!」とキレる始末。
「どうぞご自由に。金にも出世にも興味ありません。僕は人生に絶望しているんです」と朝倉は切り返した。
一方、とあるホテルの一室──朔也が必死に叶をくどいている。
ベッドに押し倒された叶は、キスをされそうになって…。