あらすじ
磐台教授(岩城滉一)の別荘で手に入れた手がかりを元に、ベテラン看護師の三浦直子(山本未来)に近付く明日美(上野樹里)。そんな明日美に対して西門(オダギリジョー)は、三浦と磐台は裏で繋がっている可能性があると警戒を促す。直子とはオペ専門の看護師で器械出しの腕は一流だが、人づきあいを嫌い病院で寝泊りし、患者にさえ笑顔を見せない“鉄の女”と影で呼ばれる奇異な人物だった。15年以上も主任看護師として聖林大学病院で働く直子は、明日美の父・小山内教授の死に関する秘密を知っているのか…?
一方、明日美に対し深い疑念を抱いていた磐台は、息子で研修医の悠真(中村蒼)と一緒に別荘を訪れていたこと、さらにこれまで病院内で起こった数々の事件から、そこに明日美が何かしら関わっているのではないかと考え、明日美と仲の良い看護師の星野美羽(栗山千明)を呼び出した。明日美の経歴や人間関係を尋ねる磐台に、なぜそんなことを聞くのかと美羽が聞き返すと、「息子の嫁として相応しいかどうか見極めたい」という言葉が帰ってきた。それを聞いた美羽は、自分の気持ちを知りながら悠真に近づく明日美に怒りを覚え…。
あらすじ
明日美(上野樹里)の父親・小山内(眞島秀和)が亡くなる数日前、小山内と磐台(岩城滉一)が言い争っていた事実を掴んだ西門(オダギリジョー)。小山内が亡くなった日の事を詳しく明日美に聞くと、命に別状のない胃潰瘍の診断だったが、ある日、緊急手術をすることになり、その手術は当時ではかなり難易度の高い腹腔鏡を使ったものだったと答える。そのオペを強引に指示したのは磐台だったのか? 何か引っかかりを感じる西門は、当時のことを聞けそうな人はいないか明日美に尋ねると、明日美は嫌がる蛭子(六平直政)を呼び出し、15年前の父親の手術のことを聞き出す。そこで蛭子が語った15年前の話とは…!?
そんなある日、磐台教授を訪ねて、日向(尾美としのり)が聖林医大病院に現れた。刑事訴訟の渦中で以前の輝きは消えた日向は、金が欲しいから別荘を買ってほしいと磐台教授に迫る。「ほかを当たれ」と最初は聞く耳を持たなかった磐台だったが、日向のある言葉に表情が曇った。その別荘には、磐台が喉から手が出るくらい欲しいものが隠してあると言うのだ。磐台が欲しがるものとは!?
一方の明日美は、さらに15年前のことを探るために、磐台の息子の悠真(中村蒼)に接近する…。
あらすじ
先日の日向弁護士の騒動で、一時は悪い噂も持ち上がりかけた磐台教授(岩城滉一)だったが、胃がんの再発予防に画期的な新治療を発表したことにより、MR(医薬情報担当者)たちの間で話題になっていた。その権威にあやかろうと自社の薬を売り込むMRたちに対して、磐台は耳を貸さなかったが、唯一、手塚製薬の田崎(霧島れいか)だけは特別視していた。そう、15年以上にもわたり、裏取引をしている関係だったのだ。
一方、西門(オダギリジョー)は、15年前の小山内医師が死んだのは医療ミスではないのかと磐台に尋ねるが、磐台は「証拠がなければ事実はないのと同じ」とはぐらかす。その態度から、磐台こそ黒幕だと確信した西門は、そのことを明日美(上野樹里)へ伝えると、明日美は磐台の息子である研修医の悠真(中村蒼)から情報を聞き出すという。
そんなある日、製薬会社による治験のキックオフミーティングで、田崎は進行胃がんの術後再発リスクを抑える「RX-1」という新薬の治験を行うため、条件に適合する患者を出来るだけ多く集めてほしいと医局員たちに依頼。また、その席で磐台が、自分の患者である萩原光一(榎木孝明)という有名な登山家も治験に参加させると伝えた。その言葉に対して、新薬を投与するにはデータ不足だと意見するスタッフもいたが、そこで磐台はある指示を出す…。
あらすじ
移植外科教授の有馬(國村隼)は、立て続けに起こった消化器外科でのトラブルの原因が、明日美(上野樹里)にあると考えていた。有馬はその件をあっさりと認めた明日美に、医局内の不穏な動きを監視するよう命じる。
そんなある日、病院内は、テレビ出演する日向弁護士(尾美としのり)の話題で持ちきりだった。聖林大学付属病院の顧問弁護士を務める日向は、敏腕弁護士で愛妻家、そして何より弱者の味方として、患者やスタッフから厚い信頼を得ている人格者。近く行われる都知事選にも出馬するというが、しかしその裏では、病院内で起こった手術ミスやトラブルの隠蔽工作に関わっていた。医療ミスを糾弾してくる遺族に大金を掴ませ、やんわりとした物腰で説き伏せる、それが日向の常套手段だった。
そんな日向が父の死に関わっていると知った明日美は、日向へと接近していく。そんな明日美に、「自分も復讐の手助けがしたい」という西門(オダギリジョー)が申し出るが、「とやかく言われたくない」と、冷たく突き放す…。
都知事選の告示日が迫り、日向はあと数日で病院を去ることになっていたある日、病院を訴えてやると騒ぎ立てる患者が現れる。急ぎ、日向が対応に駆けつけると、そこには日向の事務所で過去にアルバイトをしていたという、里中絵梨(遠野なぎこ)の姿があった。日向は、臨月を迎えたような大きなお腹の絵梨を見て、一瞬うろたえるが…。
あらすじ
15年前の医療ミスを知る西門(オダギリジョー)から謝罪の言葉を受けた明日美(上野樹里)は、それを受け流し自分のことを黙っておくよう冷たく突き放した。
その頃、明日美の父親の手術時、伊達(藤原紀香)の指導医をしていた千原淳一(田中直樹)は、伊達なき医局で次期教授候補として頭角を現していた。だが、看護師や他の医師からの、彼の評判は最悪なものだった。明日美と同じ歳の看護師・星野美羽(栗山千明)も、研究一筋で患者と向き合おうとしない千原の姿勢を腹立たしく思っていた。三ヶ月も通院している患者には経過観察の判断しか下さず、入院中の患者の急変にも時間外だからとお構いなし。また、研究だけで手術経験が乏しいと思われないようにと、最初の皮膚切開だけ行い後は助手に任せるという、姑息な一面も持ち合わせていた。彼の頭の中には、出世と研究、そして溺愛している娘のことしかなかった。
そんなある日、千原の元に磐台教授(岩城滉一)直々の手術要請が入る。彼の研究は評価しているが、大きなオペ実績がないことを危惧した磐台は、聖林大学付属病院に多額の寄付をしている特別患者の手術を千原に任せたのだ。その手術の前日、千原の愛娘が行方不明だと妻から連絡が入る。直後に、千原の元へ「娘を誘拐した」という電話が…。そして、千原のデスクには、15年前の手術看護記録とアリスのメッセージカードが置かれていた…。
あらすじ
警察庁特殊防犯課と対立するツルイ警備の鶴井浩二(吉田鋼太郎)が、朝倉草平(伊原剛志)に接近。独裁者のごとく世直しを目論む鶴井は、朝倉から大きな損失を強いられながらも、朝倉の政治家としての素質を見出し、仲間に引き入れようとしていた。だが朝倉は、これまで以上の圧力や妨害を覚悟し、鶴井と闘うことを決意。上司の叶美由紀(安達祐実)に報告する。さらに、鶴井に捨てられた森田勝利(川野直輝)に対して償うことも心に決める。
一方、豊島署の巡査・辻恵一(松下洸平)は、北柴田法務大臣の令嬢・マリエから朝倉と婚約したと聞かされる。辻にとっては信じ難いことであたったが、警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)は、朝倉の相手が叶でなかったことに一人喜んで……。
叶の使いでスイーツ店へ赴く朝倉。その背後に男の影が忍び寄る──森田だ。気配を感じた朝倉は振り払おうとするが、そこに現れたのは伊達であった。早速、婚約の件を確かめに来たのだ。だが、朝倉と伊達の話はいつものごとく、まったくかみ合わない……。その時、近くで悲鳴があがる!
人々が散り散りに逃げる中、一人の女性が奇声をあげながらバットを振り回している。すでに殴られた人たちが、何人か倒れていた。朝倉が駆けつけ、女性を取り押える!
その女性は、夫と二歳の息子と暮らす専業主婦の深田麻由(黒坂真美)。近所の人たちによると、おとなしくて一生懸命に子育てをする麻由は、とてもバットを持って暴れるような人間ではないという。
一名が頭蓋骨骨折の重体、三名が打撲による重症を負っているにもかかわらず、辻と伊達の取り調べに対して、麻由は何も覚えていないと供述する。一方、単独行動をしていた朝倉が麻由の足取りを掴む。麻由は事件を起こす直前に『アロマの天使』というオイルマッサージ店で、マッサージを受けていたのだ。
「吸わせすぎなんだよ!それであの女は事件起こしたんだぞ!」事件をニュースで知った『アロマの天使』の店長・西崎良介(石垣佑磨)は、セラピストの安藤留奈(立花彩野)を激しく責め立てる。「警察に目をつけられたら意味がないんだよ!マッサージでカモフラージュしてるのはなんのためだと思ってんだ!」
麻由にしつこくハーブを要求されたと弁解する留奈。育児ノイローゼの一歩手前の麻由は、精神的に追い詰められて、ハーブに救いを求めていたようだ。
通り魔事件を調べる朝倉の元に、大藪公平の秘書・西村(祖父江進)が訪ねて来た。「大藪先生の容態が芳しくないんです。お父様は、今でもあなたに跡を継いで欲しいと願っています」と西村は告げるが、大藪には二度と会わないと決めた朝倉の気持ちが揺らぐことはなかった。
この時、朝倉を付け回していた森田は、二人の会話を耳にする。「朝倉草平は……大藪公平の隠し子?……なのに、なぜ……」
辻の捜査で、麻由が『アロマの天使』で入手したハーブを吸引したせいで、事件を起こしたことが明らかになる。だが分析の結果、規制対象外の脱法ハーブと判明。悔しがる辻は「やっぱり矯正執行ですよね!」と自ら『アロマの天使』へ潜入すると意気込む。
「男でも雇ってもらえるの?私が潜入してもいいわよ」と叶も協力を買って出るが、「叶さんにそんな危険なことはさせられない」と、結局は伊達が潜入捜査を行うことになる。アメリカで経験を積んだセラピストとして『アロマの天使』に雇われた伊達は、一躍客の人気者に。同時に、西崎店長の信頼も勝ち取る。「お前もそろそろいいだろ。希望した常連にこっそり売ってくれ」とスペシャルハーブを差し出す西崎。それは、一袋一万円で販売している脱法ハーブだ。そこへ客を装った朝倉が訪れて……。
西崎は、朝倉と伊達が警察の人間と分かると「このハーブは違法じゃない。育児で疲れ果てたあの女を、俺が助けてやったんだ」と弁明を始めるが……。朝倉は「お前が彼女を狂わせた。夫と子供の人生も狂わせたんだ!」と麻由の敵を取るべく、矯正執行に入る!
あらすじ
スナック経営者の三嶋幸恵(水木薫)が、店で死んでいるのが発見された。豊島署は自殺と判断したが、遺体の傍らには亀の置物が残されているだけで遺書はなく動機は不明であった。遺体の引き取りに来た息子の陣内幸助(大和田健介)に対応する巡査の辻恵一(松下洸平)。警察庁特殊防犯課の警視・朝倉草平(伊原剛志)も同席する。だが、幸助は遺体の引き取りを拒否。18年前、男をつくって駆け落ちした幸恵は、戸籍上では他人だというのだ。「でも、あなたを産んでくれたお母さんですよ」と辻は言うが「母親の愛情なんか感じたことがない」と幸助は言い放つ。そんな中、幸助は子供の頃からの持病だという喘息の発作を起こしてしまって……。
幸恵はスナックの経営不振のため、悪質な業者から五百万ほど借金をしていたが、弁護士の瀬野典之(大浦龍宇一)に相談し債務整理をしていたことが判明する。その弁護士はテレビコマーシャルにまで出演し、『多重債務や違法な金利のご返済でお困りの皆さま。一度、太陽とひまわり法律事務所へ!相談料は無料、ご安心ください』と呼びかけていた。「いい弁護士さんでしたよ」と辻は言うが、朝倉は瀬野のことが気になった。
その頃、特防課──「君たち、ツルイ警備に首を突っ込んだだろ」と柏木警視長(宅間孝行)が探りを入れていた。叶美由紀(安達祐実)は否定するが、既に警視庁・鶴亀会の上層部はそのことを察知していた。
朝倉によって、ツルイ警備訓練キャンプ“ルキフェル”の計画を阻止された後、失踪していた森田施設長(川野直輝)がツルイ警備代表・鶴井浩二(吉田鋼太郎)の元に戻って来た。「汚名返上の機会を。私にもう一度ルキフェルを再開させてください!」と土下座するが……。「お前はもう、私の欲しい人間ではない。出てゆけ」鶴井が森田を受け入れることはなかった。
朝倉の指示で、幸恵の調査を続けていた辻は、さらに幸恵が闇金から借金をしていた事実を掴む。早速、朝倉がその闇金業者・高坂(長江秀和)を締め上げたところ、幸恵がオレオレ詐欺の被害に遭っていたことが判明する。
幸恵のスナックを調べる朝倉は、幸恵と幼い幸助のツーショット写真を見つけた。さらに煎餅の空き缶の中に、ある物を発見して……。
その後、朝倉は瀬野弁護士を訪ねる。幸恵は借金を整理した後に、再度、瀬野に相談をしていたことが明らかになるが……。「さすがに二度目は無理ですよ。本人に更生の気持ちがないんじゃ、助けることがその人の為にならない」と瀬野は言う。18年前に別れた幸助の情報を、オレオレ詐欺の連中はどこで仕入れたのだろうか? そんな疑問をぶつける朝倉。「個人情報の漏えいは大きな問題です。それで多重債務者が二重三重の詐欺にあってしまうんです。そんな弱い人たちを私は助けてあげたい」と瀬野は使命感を語り始めて……。
「数社から五百万ほどの借金を。助けてください」警視庁の警視・伊達鉄人(川平慈英)が瀬野の元に債務整理の相談に訪れる。瀬野は快く引き受けるが……。
伊達が去った後、瀬野は伊達の個人情報をとある業者に売りつけた。「親は貿易会社をやってるようだから、一千万や二千万はいけると思いますよ」と。
特防課──特別に設置した電話の前で待機している朝倉、叶、伊達。かかって来た電話に渋々叶が出る。「ママ、テツトだよ」と伊達を名乗るその男は、典型的なオレオレ詐欺で……。
瀬野は、朝倉と伊達が仕掛けた罠にはまったのだ。伊達は、瀬野を逮捕しようと息巻くが……。朝倉は叶に、「害虫退治の前にやることがあります」と告げた。
再び、辻と共に幸助に面会する朝倉。「払えないんだったら息子に払ってもらう」と幸恵が闇金に脅されていたことを伝える。つまり、幸恵は闇金に追い詰められた末、幸助に五千万の生命保険を残すために自殺したのだ。「最期まで愚かな女だ」とこぼす幸助の前に、朝倉はおもむろに亀の置物を差し出す。それは喘息封じの神社の置物──幸恵はその神社にお百度参りをする度に、その亀を買っていたのだ。朝倉が見つけた煎餅の空き缶には、二百十六個の亀が入っていた。「あなたに詫びることさえできなかった罪の、償いだったんじゃないでしょうか」そんな幸恵の思いがようやく幸助に伝わる。「……母さん」と幸助は涙をこぼすのだった。
そして、朝倉は伊達と共に瀬野の元へ。朝倉に言葉巧みに誘導された瀬野は、「たいして金にもならないのに、借金まみれのクズを助けるのはイメージ戦略だ」と本音を明かした。幸恵の自殺に心を痛める様子は微塵もないようだ。さらに、騙された奴が馬鹿なんだと言い放つ。そんな瀬野に、矯正執行を施す朝倉。それを目の当たりにする伊達は、ただ驚くばかりで……